研究について

研究成果

2004年に発生した台風の特徴と高潮の予測・再現計算

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1103 2005年09月
執筆者 河合弘泰、本多和彦、富田孝史、柿沼太郎
所属 海洋・水工部 海洋水理・高潮研究室
要旨 2004年には史上最高となる10個の台風が日本列島に上陸し、その多くは日本沿岸に顕著な高潮・高波災害を引き起こした。そこで、主要な台風とその高潮の特性を明らかにする一方で、台風接近時の予測計算と事後の再現計算という2つの観点から既往の高潮数値計算モデルの精度を検証し、今後の課題について整理した。その主要な結論は以下の通りである。  (1) 2004年の台風の発生位置や日本列島周辺の気圧配置も、台風の上陸個数を増やす要因になったと思われる。上陸した台風の中心気圧と最大風速半径の関係を調べてみると、台風0421号や0422号の最大風速半径は既往台風の平均よりも小さく、台風0416号や0418号の最大風速半径は非常に大きかった。転向せずに上陸したり紀伊半島沖で発生する稀な台風もあった。  (2) 九州西岸では台風0418号、瀬戸内海は台風0416号や0418号、四国南岸、紀伊半島、伊勢湾、東京湾の周辺では0423号によって、顕著な高潮が発生した。特に台風0418号は、有明海、周防灘、広島湾に2m以上の高潮偏差を発生させた。  (3) 高潮予測という観点では、本論文で用いた高潮推算モデル自体の精度は概ね十分であり、むしろ台風の予測誤差が高潮の予測誤差を大きくしている。その解決策の一つとして、中心気圧の経時変化に対応して最大風速半径を予測する方法を提案した。また、高潮追算という観点からは、超傾度風や三次元MASCONモデルで陸上地形の影響を考慮した海上風を用いて高潮偏差を推算し、その精度を検討した。
全文 /PDF/no1103.pdf