研究について

研究成果

2004年に発生した台風に伴う高波の推算

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1102 2005年09月
執筆者 橋本典明、鈴山勝之、永井紀彦
所属 海洋・水工部 海洋水理・高潮研究室
要旨 2004年は10個にも及ぶ台風が日本列島に上陸し、我が国では近年まれにみる多くの甚大な被害が発生した。その中でも8 月から10 月にかけて来襲した台風0415 号、0416 号、0418 号、0421 号、0422 号及び0423 号の6 台風が日本沿岸に深刻な高波災害をもたらしたことは記憶に新しい。これら6 台風は勢力や経路がそれぞれ異なっており、各台風による高波発生海域やそれらの出現特性も異なっている。このような広範囲の面的な波浪の出現特性の把握・検討には波浪推算が有用な手段である。そこで本研究では、第三世代波浪推算法を用いた波浪推算を行い、6 台風来襲時における面的な波浪の出現特性及び波浪推算精度や特徴を比較・検討した。その結果、複雑な陸域周辺海域において精度不足のケースが散見されたものの、概ね推算値は観測値を精度良く再現することが確認できた。そこでこの結果を基に、6 台風来襲時の平面的な高波の出現特性を明らかにすることにより、広範囲の面的な波浪の出現特性を把握・検討するとともに波浪推算が有用な手段であることを再確認した。また、6 台風来襲時に発生した高波の中には、これまでに観測されることが少なかった短時間の急激な波浪の発達が確認され、現在実務で用いられている標準的な波浪推算技術ではこの現象を再現することは困難であり、今後、このような現象の発生機構を局地気象との関連において、より詳細に検討していく必要性があることが示唆された。
全文 /PDF/no1102.pdf