研究について

研究成果

2004年台風による高波の観測結果(NOWPHAS 2004特別号)

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1100 2005年06月
執筆者 永井紀彦、里見茂
所属 海洋・水工部 海象情報研究室
要旨 2004 年は、我が国の沿岸災害史上、特筆される年となった。本土上陸台風数が10 個に及び、その中でも、台風0415 号、0416 号、0418 号、0421号、0422 号および0423 号は、沿岸に顕著な高波災害をもたらした。  こうした沿岸を襲う異常波の性質は、波浪や潮位の観測データから解明される。本報は、毎年定期的にとりまとめられている波浪観測年報や、5年間毎を目途にとりまとめられている長期統計報とは別に、2004 年に発生したこれらの異常波に焦点を絞って、全国港湾海洋波浪情報網(ナウファス)によって観測された波浪観測記録を、とりまとめたものであり、1999 年に西日本各地に大きな被害をもたらした台風9918 号の先例に倣った整理を行ったものである。  台風0415 号、0416 号、0418 号、0421 号、0422 号および0423 号による高波に関して、ゼロアップクロス法解析による有義波の出現特性をとりまとめるとともに、スペクトル解析に基づく周期帯波浪諸元の経時変化をとりまとめることによって、それぞれの台風に伴う高波浪の出現状況を全国沿岸を通して把握することができた。これらの台風によって、留萌・富山・伏木富山・柴山港内・境港・玄界灘・名瀬・伊勢湾・潮岬・小松島・室津・高知・上川口・細島・志布志湾・鹿児島・中城湾の各観測点で、既往最大観測有義波高の記録を更新した。中でも、台風0423 号による室津で観測された10 月20 日14 時の有義波高13.55m、有義波周期15.8 秒という値は、これまでのナウファス全体の中でも最大の波浪であった。
全文 /PDF/no1100.pdf