研究について
研究成果
促進試験によるプレストレストコンクリート製矢板の海洋環境下における耐久性評価
発行年月 | 港湾空港技術研究所 資料 1097 2005年06月 |
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執筆者 | 浜田秀則、横田弘、菊池喜昭 |
所属 | 地盤・構造部 材料研究室 |
要旨 | プレストレストコンクリート製矢板を本文では「PC矢板」と略記する。PC矢板は河川などの護岸用あるいは土留め壁、擁壁用としてこれまでに多く用いられている。しかし、港湾用の矢板としての使用実績は極めて少ない。その理由は、港湾環境は海洋環境であることから、コンクリート内部の鋼材腐食防止の観点から、矢板厚が大きくならざるを得ないためである。一方、矢板打ち込みの施工性を向上させるためには、矢板の厚さは可能な限り小さくすることが望ましい。これまでに、PC矢板が港湾工事においてあまり用いられていないのは、かぶり厚さを適切に定めるための知見が十分に得られていないことが一つの大きな理由である。そこで本研究は、鋼材の腐食環境である港湾環境においてPC矢板を用いる場合に、適切と考えられるかぶり厚さを設定するための知見を得ることを目的としている。本研究では、供試体を用いた劣化促進試験を実施し、海洋腐食環境下におけるPC矢板の劣化挙動を調べた。その結果に基づき、PC矢板の海洋腐食環境下における耐久性を評価し、適切なかぶり厚さに対する考察を行った。得られた主要な結論は以下のとおりである。 (1)劣化促進試験の前後でコンクリート自体の強度、弾性係数の物性値に低下の傾向が見られないことから、コンクリート自体の耐久性は優れていると判断される。 (2)PC矢板に用いられる設計強度(70N/mm2)相当のコンクリートであれば、コンクリート中への塩分の浸透はかなり抑制することが可能である。 (3)蒸気養生と湿潤養生を行った供試体の試験結果に明確な差が見られないことより、蒸気養生がコンクリートの品質低下を招くことはないと確認できた。 (4)耐久性を考慮してかぶり厚を考察すると、内部鋼材の腐食開始時が20年で30mm、30年で40mm、50年で50mmが一応の目安となる。 |
全文 |
/PDF/no1097.pdf
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