研究について

研究成果

消波ブロックによるケーソン壁面押し抜きせん断破壊に関する研究

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 044-01-03 2005年03月
執筆者 有川太郎、池辺将光、大嵜菜々子、黒田豊和、織田朋哉、下迫健一郎
所属 海洋・水工部 主任研究官
要旨  消波ブロック被覆堤において、ケーソン壁に穴あき等の局所的破壊が生じており、そのメカニズムのひとつとして消波ブロックの衝突による押し抜きせん断破壊が考えられている。しかし、ブロックによる衝突力の算定方法や押し抜きせん断破壊の判定方法は明らかではない。そこで、本研究では,それらの手法の提案、および穴あき被災対策の提案を目的として、大規模な実験を行った。  はじめに、質量0.5tの消波ブロックを用いたつり下げ衝突実験を行い、衝突速度と衝突力との関係から衝突力算定式を提案した。そのうえで、実際に現地で起きていると想定される衝突パターンとしてロッキング・転落・水平移動という3つを取り上げ、それぞれの衝突力を測定し、衝突速度ならびに波浪条件との関係から、その算定方法を検討した。  次に衝突力と押し抜きせん断破壊との関係を調べるために、5tブロックおよびコンクリート壁面を用いた衝突破壊実験を行った。そして、ひずみの測定結果ならびに破壊状況の観察により、静的な押し抜きせん断耐力を用いて、破壊判定を行う妥当性を確認した。それを基にして現地に適用し、消波ブロックによる被災の可能性を検討した。  最後にゴムによる緩衝効果やコンクリートの圧縮強度を上げることによる効果を実験により検討し,その効果に基づいて、対策方法とその経済性を論じた。以下に本研究での結論をまとめる。 1.消波ブロックによる衝突力の算定式を提案した。重心位置での速度を用いることで、ロッキングや転落といった回転運動による衝突に対しても適 用可能であることがわかった。 2.ケーソン壁面の押し抜きせん断破壊は、押し抜きせん断耐力式を用いて判定することが可能であることを確認した。 3.現地被災事例に本研究の手法を適用したところ、消波ブロックによる押し抜きせん断破壊の起こりうる可能性があることがわかった。 4.ゴムの緩衝効果に対する実験結果より対策方法を検討した結果、局所的なゴムの使用により衝突力の低減が期待できることがわかった。
全文 /PDF/vol044-no01-03.pdf