研究について

研究成果

コンクリート構造物のモニタリングへの光ファイバの適用に関する基礎的研究

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 1092 2004年12月
執筆者 浜田秀則、山路徹
所属 地盤・構造部 材料研究チーム
要旨  社会基盤施設は、一般には50年以上にも及ぶ長期間の耐用年数を設定して建設がなされる。近年の我が国における高齢化社会への移行状況を考えた場合、既存の施設に対してさらに長期の耐用年数が要求されることも十分に予想される。しかし、あらゆる構造物は供用の開始とともに徐々に劣化・老巧化が進行し、そのために構造物の信頼性も徐々にではあるが低下していく。劣化・老朽化が軽微なうちに適切な補修対策を講じることは社会的・経済的に極めて重要であり、このことから構造物の挙動を的確にモニタリングし評価する技術の開発に対する要請が近年一段と強まっている。  本研究においては、センシング材料として高い可能性を有する光ファイバに着目し、コンクリート構造物のモニタニングに対して光ファイバを適用していく技術を開発することを目的としている。光ファイバの応用方法として、“破断”、“曲げ損失”および“後方散乱”に関する情報を有効に利用するための実験的検討を実施した。本研究により以下に示すような結果を得ることができた。 1)光ファイバの力学的特性に関して知見を得ることができた。 2)光ファイバの破断を情報として利用する方法に関して、変状の動く方向と光ファイバのなす角度が重要となることを示し、光ファイバをひび割れとほぼ平行に貼付する方法を新たに提案できた。 3)光ファイバの透過光損失を情報として利用する方法について、幾つかの適用可能な方法を示すことができた。 4)光ファイバによるひずみ計測結果を情報として利用する方法について、光ファイバに予めプレテンションを与えておくことにより、精度のよい計測が可能となることを確認した。 5)今後の研究の方向性について、“フェールセーフ”という考え方に沿った方向性も有力であることを示した。
全文 /PDF/7d9e37712d19aa291646e66600b31cc0792eec72.pdf