研究について

研究成果

時間発展型擬似段波モデルに基づく砕波計算法の適用性

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 1090 2004年12月
執筆者 平石哲也、峯村浩治
所属 海洋・水工部 波浪研究室
要旨 ブシネスクモデルにおける砕波モデルとして、Hara and Hirayama et al.(2003)により、「時間発展型擬似段波モデル」が開発された。この砕波モデルは「非定常な砕波現象における単位時間あたりのエネルギー減衰量が、ある微小時間および微小空間における跳水によるエネルギー損失に等しい」と仮定したものであり、砕波の形態によらず、統一的に扱うことの出来る砕波モデルである。しかし、時間発展型擬似段波モデルは断面一次元モデルであるため、実務において汎用的に用いるためには、平面二次元モデルに砕波モデルを組み込む必要がある。跳水の理論自体が断面一次元における理論であるため、平面モデルとして適用するためには、適用範囲を限定した使用法を導き、結果が近似的に妥当と判断出来る範囲を示す必要がある。よって、本研究では『浅水域で起こる砕波変形は、屈折変形等により波の主方向が、斜面の等水深線にほぼ直角になった状態で発生する』という条件の基で砕波モデルの適用を行った。まず、その砕波モデルを用いて、一様勾配地形において入射角が変化した場合における適用性について既往の砕波モデルと比較し、その差違を明らかにした。さらに、様々な現地地形において実施された水理実験結果を用いて、段波モデルにおける再現計算を行い、本砕波モデルの適用性の確認を行った。その結果、波の屈折により多方向性が弱くなり、砕波の進行方向が砕波減衰を考慮した計算軸方向と同一の場合には、段波モデルの平面計算への適用が可能であることが判った。しかし、多方向性が強い海域において砕波する場合には、本砕波モデルの適用が困難であった。
全文 /PDF/510d50f2a3ab01bb2d3562750a9c6c92e58861c0.pdf