研究について

研究成果

超音波による重油エマルジョンの被洗浄特性

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 1077 2004年03月
執筆者 佐藤栄治、吉江宗生、藤田勇
所属 施工・制御技術部 油濁対策研究室
要旨  1997年1月に発生したロシア船籍タンカー「ナホトカ号」の事故では積載していた大量のC重油が海上に流出し、日本海沿岸の各地に大規模な被害がもたされた。こうした船舶事故による流出油の回収作業で使用された油回収船の洗浄コストは莫大であり、低減が求められている。また海岸に漂着した油の回収及び洗浄は手作業に頼るところが多く、膨大な労力を伴う。このため環境負荷が小さく効率の良い油の洗浄技術の開発が必要である。  そこで洗浄力要素として超音波による物理力のみを利用し洗剤等を用いない油洗浄実験を、重油付着鉄板、重油付着礫、重油付着砂について実施した。  重油付着鉄板板及び重油付着礫の洗浄実験から、超音波の周波数及びパワー密度と洗浄時間の関係が明らかになった。  重油付着鉄板洗浄実験では、鉄板に付着している重油が超音波の作用により微粒子化され、洗浄水中に分散して重油付着鉄板に再付着するため、鉄板に付着している重油を完全に剥離することはできなかったが、約80%程度を剥離できた。重油付着洗浄実験では、ほぼ完全に洗浄できたが、超音波の周波数による洗浄効果の違いは明確でなかった。  これらの実験により、超音波による物理力のみで一定の洗浄効果が得られると判断できた。
全文 /PDF/c76875dfdb38b06cac8e4497f73b7e2f9acad0d7.pdf