研究について

研究成果

熊本県白川河口干潟における土砂収支

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 1074 2004年03月
執筆者 栗山善昭、橋本孝治
所属 海洋・水工部 漂砂研究室
要旨  干潟の地形変化はそこに生息する生物の分布に影響を与えることから、干潟の地形変化や底質移動に関する研究が精力的に行われている。しかしながら、今後の地形変化、ならびに、それに伴う生態系の変動を予測する上で重要となる干潟の土砂収支に関する研究は非常に少なく、その知見の蓄積が求められている。  そこで本研究では、熊本白川河口干潟を対象として、干潟およびその周辺で取得された広域かつ長期の深浅データおよび波浪データや河川流量データを基に、白川河口干潟の土砂収支(解析領域内の土量変化、波による沿岸漂砂量、河川からの流出土砂量)を検討した。その結果、干潟の地形変化は河川からの流出土砂量によって大きく異なることが明らかとなった。大規模な出水があった場合には、年平均で約35万m3の土砂流出に対して、白川から約68万m3の流入があったため解析領域で約34万m3の堆積が生じた。一方、大規模な出水がなかった場合には、白川から流出土砂量が約8万m3であるため解析領域で約25万m3の侵食が生じる結果となった。  本研究成果は、河口域に広がる干潟の保全計画や干潟造成の際の土砂管理に役立つものと考えられる。
全文 /PDF/no1074.pdf