研究について

研究成果

二次元模型地盤における矢板壁の挙動

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1064 2003年12月
執筆者 菊池喜昭、水谷崇亮
所属 地盤・構造部 基礎工研究室
要旨  矢板壁のような二次元地中構造物では、土槽壁の影響の無い二次元地盤による実験が不可欠である。そこで、アルミニウム棒積層地盤による二次元地盤を用いて、実証実験事例の少ない控え式矢板壁と自立式矢板壁に関する実験を実施した。この実験は、L150cm×H50cm×D15cmの土槽で行われており、矢板壁の最小根入れ探さは25cm、矢板壁前後の地盤高の最大の差は30cm程度と比較的小規模なものである。この研究では、矢板壁に作用する土庄、地盤反力および周辺地盤の変形挙動に着目している。特に、矢板壁前後の地盤高の差の構築方法として、掘削型と埋立型の2種類を用いて構築方法の違いによる矢板壁の挙動の差異についても検討した。主たる結論は以下のとおりである。 1)埋立型と掘削型とで、矢板壁の直立部背後に作用する土庄分布には違いがあるがその差は比較的小さい。その差は、地盤高の差が小さい時には顕 著であるが、地盤高の差が大きくなると顕著ではなくなる。このような傾向は控えの有無によらず、共通である。 2)直立部背後から作用する土庄は、一般に設計で考えられているようなきれいな三角形分布ではなく、直立部の途中で土庄強度の最大値が生じ、直立部下端ではほぼ0となるような土庄分布である。 3)控えの無い形式の矢板では、地盤反力係数のモデルとしては,P=khxyのような形式モデルよりは、杭の設計でよく用いられるようなP=Khxy0.5の形式のほうが適合性が高い。これは、現行基準の設計の考え方が概ね妥当であることを意味している。 4)控え式矢板壁については、盤反力係数のモデルとして、P=khxyのようなモデルとP=khxy0.5の形式とで優劣のつけがたい結果となった。ただし、現行の設計法で用いられているRoweの方法を修正した方法で用いらているモデルP=(Ih/D)xyの適合性については十分な検討ができなかった。
全文 /PDF/no1064.pdf