研究について

研究成果

有明海における底泥輸送現象のモデル化

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 042-04-02 2003年12月
執筆者 中川康之
所属 海洋・水工部 主任研究官
要旨 陸域からの負荷が大きく閉鎖性の強い内湾域においては、シルトや粘土等の泥質物の輸送・堆積現象が海域環境の変動に深く関与する。本研究では、このような泥の輸送が海域環境の形成にきわめて重要と考えられている有明海を対象として、現地データの解析による底泥輸送特性の把握と、数値モデルによる底泥輸送シミュレーションを試みた。用いた数値モデルは、多層レベルモデルによる海水流動モデルと、海底面での底泥の巻き上げおよび沈降・堆積を考慮した泥粒子の移流・拡散モデルにより構成される。湾内4地点で約1ヶ月間同時に測定された観測データによると、潮汐流が卓越する大潮期になると底泥の巻き上げが生じ、湾奥部ではこれらの浮遊泥が西岸側に偏向することがわかった。一方、大潮・小潮の振幅変動を考慮した潮汐を主な外力として、底泥の移動・堆積に関する数値シミュレーションを行ったところ、観測結果に見られる上記のような大潮期の底泥輸送傾向が再現された。
全文 /PDF/vol042-no04-02.pdf