研究について

研究成果

アーク形の矢板とトラスを有する二重矢板式護岸模型の遠心実験

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1058 2003年09月
執筆者 北詰昌樹、石橋伸司、菊池喜昭、寺田昌弘、脇屋泰士、勝谷雅彦
所属 地盤・構造部 地盤改良研究室
要旨  港湾護岸の構造形式において二重矢板構造形式は、矢板や鋼管等を二列に打ち込み、前面側矢板と後面側矢板をタイロッド等で連結して前面の矢板に作用する水圧や土庄などを後面側矢板と根入れ部前面の受動土庄によって支える構造である。構造物に作用する水圧・土庄に対して、構造物自身の重量と底面での摩擦によって抵抗している重力式に比べ、一般に比較的軽量で、大規模な地盤改良を必要とせず、その結果、工費が安くなるという利点がある。近年、更なる経済性を追求するために、アークトラスと呼ばれる新しい二重矢板式護岸が考えられている。従来の二重矢板式構造物の銅板にアーク(円弧)形の矢板を用い、隔壁としてトラスを用いた構造である。この構造を用いると従来の二重矢板式構造に比べて、二重矢板壁体の曲げ剛性が大きくなり、壁体幅を小さくすることが期待できる。その結果、従来の矢板式構造物に比べて必要な地盤改良範囲を縮小することが可能となり低コスト化が期待できるものである。  これまでの研究では、従来の二重矢板形式に比べ構造物のせん断変形を抑制できることが明らかになってきている。しかし、アークトラス構造は新しい構造形式であるため、前後の矢板壁の間隔やアーク形矢板の根入れ深さなどがアークトラスの挙動に及ぼす影響は十分に解明されているとは言い難い。そこで、本研究では、前後の矢板壁の間隔が異なる3種類のアークトラス模型を作製して遠心模型実験を行い、矢板壁の間隔が、構造物の変位、各部に発生する曲げモーメントや軸力に及ぼす影響を検討した。
全文 /PDF/no1058.pdf