研究について

研究成果

コンクリートの局所的圧縮破壊現象とその評価手法

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 042-03-01 2003年09月
執筆者 岩波光保、渡辺健、横田弘、二羽淳一郎
所属 地盤・構造部 主任研究官
要旨 コンクリートが圧縮力を受けて破壊する場合、ある限られた領域のみに破壊が集中する、すなわち、破壊の局所化が生じることが知られている。これまで、コンクリートの材料特性や形状・寸法が圧縮破壊の局所化に及ぼす影響などが実験的に検討されているものの、そのメカニズムについてはほとんど解明されていない。そこで本研究では、コンクリートの局所的圧縮破壊現象を解明するために、コンクリート試験体の断面形状・寸法や高さ、あるいは圧縮強度を変化させて、一軸圧縮載荷試験を行った。載荷中には、コンクリート内部の局所的なひずみを計測することで、局所破壊領域を同定した。また、コンクリート内部で発生するアコースティック・エミッション(AE)についても計測を行い、AE法による局所破壊領域長さの簡便な推定方法を検討した。さらに、載荷試験が終了したコンクリート試験体のX線CT撮影を行うことで、コンクリート内部のひび割れ発生状況の可視化を試みた。これらの検討結果を踏まえて、局所的圧縮破壊現象を考慮したコンクリートの応力ーひずみ関係の定式化を行った。検討にあたっては、コンクリートを載荷とともに破壊が進行する領域と除荷される領域に分割し、それぞれの領域で局所的に吸収されるエネルギーを適切に考慮した。これにより、コンクリートの最大荷重後における力学挙動までも精度良く再現できる構成則を提案した。
全文 /PDF/vol042-no03-01.pdf