研究について

研究成果

港湾地域強震観測地点における地震動の卓越周期

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1052 2003年06月
執筆者 深澤清尊、野津厚、佐藤陽子、菅野高弘
所属 地盤・構造部 構造振動研究室
要旨  地震動の卓越周期には地点毎に特徴のあることが従来からよく知られている。構造物を建設しようとする場所で卓越しやすい地震動の周期があらかじめ把握できていれば、設計の段階で構造物の固有周期と地震動の卓越周期が一致しないように工夫することもでき、そのメリットは大きい。  わが国の港湾では1960年代以降、強震観測が実施されてきている。その観測網はわが国の主要な港湾をカバーしているので、その記録に基づいて港湾毎の地震勤の卓越周期を求めておけば、当該港湾において構造物の耐震設計を行なう上で有用な情報となるはずである。  このような考えの下、本研究では、港湾地域強震観測の地表における全ての観測点を対象として、これまでに得られている記録に基づき、地震動の卓越周期を整理した。その結果については、本文中に一覧表を掲載するとともに、検討対象とした全てのフーリエスペクトルを付録CDに収録している。  また、得られた各地点の卓越周期が表層地盤の特性からどの程度説明できるかを検討するため、地盤モデルから求めた表層地盤の伝達関数と、強震記録から求めた卓越周期とを比較した。その結果、概ね1秒を境として、短周期側では地震勤の卓越周期は表層地盤の特性から説明できるのに対し、長周期側では地震動の卓越周期は表層地盤の特性からでは説明がつかず、その原因を深層地盤に求める必要のあることがわかった。
全文 /PDF/no1052.pdf