研究について

研究成果

直立部に消波構造を用いた新しい高基混成堤の開発-水理特性および耐波安定性に関する実験的研究-

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 042-02-11 2003年06月
執筆者 下迫健一郎、高橋重雄
所属 海洋・水工部 耐波研究室
要旨  従来・我が国における混成防波堤は、衝撃砕波力の発生や、波による基部の洗掘などの問題を避けるため、マウンドの低いもの(低基混成堤)が主流となっている。しかしながら、マウンドの高い高基混成堤も、施工面や全体的な経済性から有利な点も少なくない。また、環境面への影響を考慮すると、水深の浅いマウンド部を広く有する高基混成堤は優れた構造である。  通常の混成堤では、衝撃砕波力の発生を防ぐために捨石マウンドを低くするか、前面を消波ブロックで被覆したり、消波ケーソンを用いたりして直立部に作用する波力を低減させる。これに対して、高基混成堤は、マウンドを十分高くすることにより、ある程度以上の大きな波はすべてマウンド上で砕波させ、直立部には砕波後の波を作用させて波力を低減させることができる。  本研究では、直立部の構造を改良した消波型高基混成堤を対象とし、防波堤や護岸としての実用化を目的として、その水理特性および耐波安定性に関して、水理模型実験による検討を行った。  本研究における主要な結論は以下のとおりである。  1)直立部に消波構造を用いることにより高基混成堤の耐波安定性が飛躍的に向上し、条件によっては中詰め砂を必要としない経済的な断面が可能となる。直立部に衝撃的な波力が作用する場合でも、部材に生じるひずみは それほど大きくならない。  2)通常の傾斜堤と比べて越波量も減少するため、防波堤だけでなく護岸の構造としても適用可能である。  3)空港護岸などのように天端高および打ち上げ高さをできるだけ低くする必要がある場合には、スリット上部に水平板を設けることにより、越波量および打ち上げ高さを低減させることができる。ただし、水平板に作用する波力が問題となる可能性がある。
全文 /PDF/vol042-no02-11.pdf