研究について

研究成果

コンテナクレーンの耐震性向上に関する研究-免震コンテナクレーンの開発-

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 042-02-09 2003年06月
執筆者 菅野高弘、芝草隆博、藤原潔、徳永耕一、槙本洋二、藤木友幸
所属 地盤・構造部 構造振動研究室
要旨  1995年兵庫県南部地震では神戸港のコンテナクレーンに大きな被害が発生した。その教訓から、大地震が起こっても、損傷や脱輪がなく地震後すぐに荷役作業を行える免震コンテナクレーンを開発し、縮尺模型による実証試験を行った。  免震コンテナクレーンは免震装置をクレーン脚部と走行装置との間に組み込んでいる。免震装置は、クレーンの固有周期を長周期化させ、地振動の影響を低減する装置であり、橋梁や建築物で長年の使用実績がある積層ゴム免震アイソレータを採用している。免震装置の構成要素は積層ゴム免震アイソレータのほか、地震エネルギーを吸収し地震時応答を抑制するダンパ、アイソレータの回転変形を抑制するモーメント受けローラ、アイソレータの過度の水平変形を防止する平行リンク、荷役作業時免震装置を固定するシアピンから成っている。  今回の縮尺模型試験により、クレーン応答加速度の大幅な低減や脱輪防止などの免震装置による効果を確認できた。また、ロープで吊られた吊荷によるクレーンへの動的影響は小さいこと、一部の免震装置が作動しない場合は加速度応答および脚の浮き上がりに影響して免震効果が期待できないことも確認できた。動的シミュレーション解析については、応答加速度および脚の浮き上がりなどの解析結果が試験結果とよく一致しており、脚の浮き上がりなどを伴う非線形性の強い挙動に対しても解析法の実用性が確認できた。
全文 /PDF/vol042-no02-09.pdf