研究について

研究成果

ASRが発生したコンクリートの特性および内部鉄筋ひずみとコンクリート表面ひずみの関係

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 042-02-06 2003年06月
執筆者 Tarek Uddin MOHAMMED,浜田秀則、山路徹
所属 地盤・構造部 材料研究チーム
要旨  アルカリ骨材反応(ASR)が発生しているコンクリートにおいて生じている、コンクリート自身の物性、内部鉄筋およびコンクリート表面のひずみ、ひび割れの進展、鉄筋の機械的性質等の変化に関して詳細な実験的検討を行った。それに加えて、コンクリート中への塩化物イオンの拡散性状の試験、内部鉄筋の腐食状況の観察、SEMによるアルカリシリカゲルの観察、コンクリートの破断面におけるアルカリシリカゲルの観察を行った。実験には、寸法が250×250×600mmの角柱型の供試体、および直径が100mm、長さが200mmの円柱型の供試体を用いた。角柱型供託体には鉄筋コンクリート製と無筋コンクリート製の2種類があり、鉄筋コンクリート製の場合には、鉄筋量を数種に変えることにより、数種の異なる拘束状態に設定した。また、コンクリート中のアルカリ総量を等価Na<SUB>2</SUB>Oで6kg/m<SUP>3</SUP>になるように、練り混ぜ自にNaOHを加えている。供試体は、40℃に加熱した海水中に浸せきした。この状態で最長383日まで養生を行い、その間およびその後に各種の試験を実施した。  コンクリート表面にひび割れが発生した直後、コンクリートの弾性係数は大幅な低下を示したが、その後はほぼ定常状態となった。コンクリートの圧縮強度の低下は、弾性係数の低下ほど顕著には生じなかった。内部鉄筋の有する拘束効果により、コンクリートの表面ひずみは抑制されていた。内部鉄筋の拘束率は、コンクリート表面のひずみおよび鉄筋のひずみに大きく影響していた。コンクリート表面のひずみと内部鉄筋のひずみには線形の関係が認められ、かつそれは鉄筋による拘束率が大きくなるほど相関性が高くなった。内部鉄筋がコンクリート表面に近いほどコンクリート表面のひずみは小さくなる傾向にあるが、鉄筋のひずみは大きくなる傾向にあった。コンクリート表面近傍に縦断方向の鉄筋を配置した場合は、横方向のコンクリート表面ひずみおよぴスターラップ鉄筋のひずみが大きくなった。
全文 /PDF/vol042-no02-06.pdf