研究について

研究成果

SEMおよびポロシメーターを利用した土の微視的構造の観察とその評価

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1032 2002年12月
執筆者 姜敏秀、渡部要一、土田孝
所属 地盤・構造部 土質研究室
要旨 粘土の微視的構造に関する研究において、電子顕微鏡(SEM)による画像観察と水銀圧入型ポロシメーターによる間隙径の測定は、日常的に用いられる観察手法・試験の一つになりつつある。しかしながら、試料の準備、試験方法および実験条件、さらには、実験結果の分析方法などが基準化されていないため、一般化された試験方法として確立されるまでには至っていない。例えば、通常これらの試験では、粘土固有の骨格構造を維持しながら粘土内部の間隙水を完全に除去することが必要であるが、試料の乾燥方法の違いが試験結果に及ぼす影響はあまり知られておらず、また、対象としている粘土の条件に応じた乾燥方法の選定や、試料観察面の割り方・切り方などについては基準化されていないため、研究者によって試験方法が異なることは試験結果をもとに微視的構造を議論する上での支障ともなっている。  本研究では、これらの試験から得た情報を工学的に広く利用するために、各研究者および研究機関で実施されている測定方法や、解釈などに関して基準化することを目的とし、そのための基礎的な研究成果として適切な試料準備および試験方法を提案する。  異なる種類・状態にある粘土試料に対し、SEMおよびポロシメーターによる微視的構造の評価を行い、試料作成時の乾燥収縮や観察面の切り方などによる微視的構造の変化、ならびに、試験条件が分析結果に及ばす影響などに関して定量的に評価した。練り返し粘土試料として、スラリー状の高含水比試料と再圧密した練り返し再構成試料、また、高含水比軟弱粘土と有効土被り圧が大きな粘土の不攪乱試料として、有明粘土と大阪湾洪積粘土をそれぞれ使用した。これらの結果に基づき、SEMとポロシメーター試験を用いた大阪湾洪積粘土の圧密挙動と微視的構造の変化との関係についても詳細に調べた。
全文 /PDF/no1032.pdf