研究について

研究成果

サクション基礎防波堤の耐波安定性に関する水理模型実験

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1027 2002年09月
執筆者 下迫健一郎、中川将秀、黒田豊和、藤原隆一
所属 海洋・水工部 耐波研究室
要旨 サクション基礎を用いた防波堤は、通常の混成堤に比べて以下のような特長を有している。 1)マウンドが不要で堤体断面を小さくできる。 2)軟弱地盤であっても、地盤改良なしに設置が可能である。 3〉基礎が引き抜かれようとする力に対して発生するサクションカや、滑動に対する抵抗力として働く基礎背面の土圧などにより、耐波安定性が高い。  このようなサクション防波堤について、砂質土および粘性土に適用する場合の耐波安定性の違いや根入れ長の影響を検討することを目的として、小縮尺(S=1/50)の水理模型実験を実施した。また地盤中の波圧特性を詳細に検討するとともに、縮尺の影響についても検討することを目的として、大縮尺(S=1/10)の水理模型実験を行った。実験においては、堤体に作用する波圧および地盤中の土圧、間隙水圧を測定するとともに、堤体の変位についても測定した。本研究における主要な結論は以下のとおりである。 1)ケーソンおよびサクション基礎の海底地盤上部に作用する波圧は、重複波および砕波の波圧に対する合田式にて算出することができる。 2)サクション基礎前面に作用する圧力は、地盤内での圧力が指数関数的に減少すると仮定した式により、理論的に求めることができる。粘性土地盤の場合でも、サクション基礎と地盤の空隙からの圧力伝播や基礎の変位による間隙水圧の増大等の影響により、砂質土地盤の場合と同様の圧力を考慮する必要がある。 3)サクション基礎底面に作用する揚圧力は、通常の混成堤と同様に岸側において0となる三角形分布の圧力を考える。ただし、粘性土地盤の場合には、揚圧力は考慮しなくてよい。 4)ケーソン部に作用する波圧と基礎前面に作用する波圧には位相差があるが、波浪条件、構造条件、地盤条件によって位相差は大きく変化するため、設計においては安全側となるよう位相差を無視して同時に波力が最大になると考えるのがよい。
全文 /PDF/no1027.pdf