研究について

研究成果

盤洲干潟における潮汐に伴う栄養塩収支に関する現地観測

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1020 2002年06月
執筆者 野村宗弘、小沼晋、桑江朝比呂、三好英一、中村由行
所属 海洋・水工部 沿岸生態研究室
要旨  干潟域の岸沖方向の時・空間的な水質変動に関する現地観測を2000年夏季に2日間にわたり東京湾盤洲干潟において実施し、潮汐サイクルに伴う直上水の水質変動の特性を明らかにした。  冠水時においてDO、pH、ON(有機態窒素〉およびOP(有機態リン)は、沖側で高く岸側で低い空間分布が得られDIN(無機態窒素)、PO4-P(リン酸態リン)は逆の分布傾向をとる観測結果が得られた。また、上げ潮時には汀線近傍において急激なDIN、PO4-Pの増加がみられた。同時に現地で栄養塩溶出実験を行い、その溶出フラックス値を入力値として、簡単なボックスモデルを使って解析した。下げ潮の水質変動に関しては、モデルは観測の変動をよく再現したが、上げ潮時の変動は再現できなかった。これらのことから、上げ潮時には汀線部の巻き上げや一時的な底泥からの溶出フラックスの増加過程が重要である可能性が示唆された。さらに一潮汐あたりの栄養塩収支を求めた結果、TPについて昼間の冠水時で1μmolm-2h-1の干潟内への蓄積、夜間冠水時で30μmolm-2h-1の干潟外への放出があった。1潮汐の平均としては干潟沖合からはON、OPの流入、干潟からはIN、IPの流出の傾向が認められるとともに、冠水前の時間帯(日昼か夜間か〉の違いが栄養塩フラックスに影響している可能性が示された。
全文 /PDF/no1020.pdf