研究について

研究成果

期待変形量を用いた防波堤のマウンド支持力に関する設計法

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 040-04-02 2001年12月
執筆者 土田孝、梅沢信敏、石倉克真、湯怡新
所属 地盤・構造部 土質研究チーム
要旨  防波堤マウンド支持力の問題は、波圧という繰り返し荷重に対する地盤の安定問題と考えられる。本研究では、波庄時にマウンドに作用する偏心傾斜荷重に対して、支持力不足によって発生する期待変形量を算定する方法を新たに開発した。変形量はすべり面上の土塊の運動量を運動方程式を用いて計算したが、これは地震時の斜面安定問題におけるNewmarkの方法を防波堤の支持力問題に適用したものである。  個々の防波堤の設計に用いるための期待変形量算定プログラムを開発し計算を行った結果、期待変形量と設計支持力安全率の関係は防波堤の形状によって大きく異なり、形状によっては、期待変形量で設計することにより従来の安全率(堤体幅)を減じることができることが明らかになった。  本プログラムを苫小牧西港の被災事例に適用し、計算した期待変形量と実際の被災時変形量との比較を行った。被災を受けたのは建設途中の護岸先端部であり、実測された被災時の沈下量と水平移動量はそれぞれ7~45cm、8~23cmであった。ケーソン前面の消波ブロックが不完全被覆のときの波力低減係数eを用い、波浪観測結果から被災時の波浪条件を推定して期待変形量を計算した。計算で求めた期待沈下量、期待水平移動量は実測値の範囲とよく一致した。
全文 /PDF/vol040-no04-02.pdf