研究について

研究成果

太平洋に面した港湾における長周期波の特性とスペクトル形状に関する分析事例

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1012 2001年09月
執筆者 白石悟、永井紀彦、笹健児、久保雅義
所属 地盤・構造部 海洋構造研究室
要旨 外洋に面した港湾において、長周期波の特性を詳細に把握することは、船舶の係留限界を把握する上で大変重要である。これまでも長周期波に関する多くの研究が実施されているが、主として波高に関して議論されており、長周期波の周期特性を明確にした研究事例はほとんど見られない。港湾の設計・運用において重要な要素となる係留船舶の動揺を考える上では、長周期波の波高とともに周期に関する諸特性を明確にする必要がある。本研究では、NOWPHASの観測地点のうち太平洋沿岸にある港湾の沖合波浪観測データを統計解析することにより、荒天時における長周期波の発達特性、波高・周期特性について検討を行った。この結果、以下に示す主要な結論が得られた。 1)荒天時における長周期波の発達特性を時系列的に分析すること、さらに拘束波理論を観測データに適用することにより、太平洋沿岸の港湾沖で観測された長周期波は台風が観測点に接近する場合には風波と見なせるために拘束波理論で説明できるが、台風が遠方を通過しうねりとして伝播する場合には拘束波理論では説明できないことが分かった。 2)有義波高および有義周期の2変数を説明変数とした何種類かの多項回帰式により長周期波の波高を推定したところ、精度よく推定することが可能となった。 3)長周期波のスペクトル形状を近似しようとする場合、風波のスペクトル式における周波数にかかる乗数を変更した方が再現性は向上することが分かった。 4)長周期波の周期特性については、スペクトルの推定によってなされるべきことが明らかとなった。長周期波のスペクトルはピーク周期付近の成分波による群波理論によって推定する方法を提案した。
全文 /PDF/no1012.pdf