研究について

研究成果

超音波ホログラフィーによる水中視認技術の開発

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1009 2001年09月
執筆者 白井一洋、吉江宗生、佐藤栄治
所属 施工・制御技術部 主任研究官
要旨 港湾や海上空港建設の水中部工事においては、施工管理や品質管理は潜水士による直接計測や直接視認あるいは光学式水中テレビカメラによる視認や超音波による計測技術を使用して行われている。これら作業の効率精度等の一層の向上のため、濁水中での視認技術の開発が期待されている。また、水中施工機械を船上から遠隔操作するために解決すべき課題の1つとして、濁水中での視認技術が上げられる。水中部の視認装置としては、水中テレビカメラが一般的に使用されているが、湾内や河川の流入部、港湾建設工事の現場等では透明度が低く、濁りのために可視距離が極端に短く近距離しか見ることができない。このため、濁水中でも伝搬可能な超音波による水中映像化技術の研究が数多く行われているが、実用化されたものがないのが現状である。  本研究では、超音波による映像化技術実用化のための資料を得ることを目的に、超音波ホログラフィーによる水中映像装置を試作し、水槽実験により水中物体の映像化の可能性、問題点の検討を行った。その結果以下のことが明らかになった。 1.1個の送波器と複数の受波器から構成される装置で、1回の超音波の送受波で電球の位置を表示することは可能であった。 2.周波数600kHzの超音波で受波器アレーの面積が25×25cmでは、反射体の輪郭を正確に表示することは出来ない。 3.ホログラム作成位置の僅かな差による再生像の変化を防ぐには以下の2点の対策が必要である。  送波パルスの振幅を安定させる。  反射波が変形しないように受波器アンプのダイナミックレンジを広く取る。 4.トーンパースト波による垂直方向の分解能を得る手法は、パルス幅以上の間隔で物体が配置されている場合は有効であるが、連続的に水深が変化する斜面や、捨て石等に対しては有効ではない。
全文 /PDF/no1009.pdf