研究について

研究成果

RC部材接合部の構造性能に及ぼす内部鉄筋腐食の影響

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1006 2001年09月
執筆者 佐藤文則、岩波光保、横田弘
所属 構造部 構造強度研究室
要旨 海洋環境に隣接するコンクリート構造物は、劣化因子である塩化物イオンの影響を絶えず受けている。その結果、内部鉄筋が腐食し、腐食生成物の膨張圧によりかぶりコンクリートにひび割れが発生し、さらに劣化が著しい場合にはかぶりの剥落に至るいわゆる塩害を引き起こす。したがって、供用期間中に港湾コンクリート構造物の維持・管理を行い、必要に応じて適切な補修・補強対策を講じることが重要となる。一概に補修・補強を講じるといっても、対策の時期や方法は劣化の程度により異なると考えられる。したがって、補修・補強対策を講じるには、塩害により構造物が劣化した場合に、その時点の耐荷性や変形性等の力学的性能を定量的に評価することが必要となる。このような背景から、これまではり試験体を用いて内部鉄筋の腐食度とRC部材の力学的性能との関係を検討し、鉄筋の腐食による断面欠損率との関係で概ね評価できることを示した。本研究では、これに加え、部材の応力状態が厳しい柱・はり接合部に着目し、内部鉄筋が腐食した場合の力学的性能を評価することを目的とした。実験は接合部を模擬したT形試験体を対象として、電食により内部鉄筋の腐食度を変化させ、載荷試験により耐荷性や変形性に与える影響を調査した。また、劣化に伴う構造性能の変化を非破壊試験により評価することを目的として、アコースティック・エミッション計測および電気化学的手法を適用し、接合部内部の劣化情報を検討することとした。その結果、耐荷力は鉄筋の断面欠損率で整理でき、変形は腐食に伴う付着性能の低下により局所化することが確認できた。
全文 /PDF/no1006.pdf