研究について

研究成果

海洋環境下におけるRC構造物中の鉄筋腐食に関する長期暴露試験

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 040-03-03 2001年09月
執筆者 Tarek Uddin MOHAMMED、濱田秀則、山路徹
所属 地盤・構造部 材料研究室
要旨  コンクリート中の鉄筋の腐食は海洋構造物の耐久性低下の最も大きな原因となっている。この問題に関しては、古くから多くの研究が実施されてきている。しかし、海洋環境下におけるRC構造物の長期耐久性を確保するためには、まだまだ多くの研究が必要である。このために、海洋環境下におけるコンクリート構造物の耐久性に関する重要な幾つかの点に関して長期の暴露試験を実施し、幾つかの結論を導いた。  過去6年間にわたる一連の研究プログラムにおいて、コンクリート中鉄筋の電気化学的性質、物理的性質、例えば、鉄筋の配置方向が腐食に及ぽす影響、異型棒鋼と丸鋼の腐食状況の相違、コンクリートのひび割れが腐食に及ばす影響、普通セメント・高炉セメント・フライアッシュセメントといったセメントの種類が腐食に及ばす影響、などについて研究を実施してきた。本文においては、これらの研究より得られた結果を取りまとめ、以下に示す結論を得た。 1)鉄筋とコンクリートの間に空隙が存在する場合は、腐食発生時期を早めるとともに、一旦腐食が開始された鉄筋の腐食速度が大きくなる。 2)丸鋼に比べて異型棒鋼の方が腐食しやすい傾向にあった。 3)高炉スラグ置換率が比較的高い、高炉セメントC種が最も塩分浸透に対する抵抗性、内部鉄筋の腐食抵抗性が優れていた。 4)長期の暴露期間において、比較的幅の小さなひび割れは水和生成物により充填される傾向にあり、そのために内部鉄筋の腐食が抑制される傾向にあった。
全文 /PDF/vol040-no03-03.pdf