研究について

研究成果

せん断補強のない高性能軽量コンクリートはりのせん断耐荷機構

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 040-03-02 2001年09月
執筆者 横田弘、舟橋政司、山田昌郎、原夏生、二羽淳一郎
所属 地盤・構造部 構造強度研究室
要旨  従来の人工軽量骨材の欠点であった強度および耐久性の問題を克服した高性能人工軽量骨材が近年開発された。この骨材を用いることで、海洋環境下においても所要の性能を満たす軽量コンクリート構造物を建造することが可能で、顕著な建設コスト縮減効果を期待できる場合があることを既に報告した。  その際、高性能軽量コンクリート部材のせん断耐力は、通常の砕石コンクリートのそれに比べて低下することが確認された。球形の人工軽量骨材を用いたコンクリートは、骨材の形状に起因する欠点として、コンクリートのせん断強度が低下する傾向を示す。そのため、土木学会コンクリート標準示方書では、従来の軽量コンクリートはりに村して、コンクリートの分担するせん断力を普通コンクリートのそれの70%に一律に低減させて対応している。これは、従来の人工軽量骨材コンクリートより得られた結果をベースとしているので、この低減係数の高性能人工軽量骨材コンクリートへの適用性を精査する必要がある。  このようなことから、せん断補強を有しない高性能軽量コンクリートはりのせん断載荷試験を行い、実験的にこの課題について考察した。その結果、高性能軽量コンクリートはりのせん断耐力は、コンクリートの単位容積質量が小さくなるにつれて低下することが確認された。そこで、せん断耐力の算定において、斜めひび割れ発生耐力をコンクリートの単位容積質量の関数とする低減係数を提案した。また、せん断スパン比に応じてせん断抵抗機構が変化し、通常コンクリートの破壊形態の性状が異なることが明らかとなった。
全文 /PDF/vol040-no03-02.pdf