研究について

研究成果

東京湾湾奥部におけるchl-a(植物プランクトン量)空間分布評価モデルに関する検討

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1003 2001年06月
執筆者 岡田知也、中山恵介、野村宗弘、宝田桂一、宮野仁、古川恵太
所属 海洋環境部 環境評価研究室
要旨 一般に行われている生態系モデルによる湾内の水質評価は、物質循環過程に細心の配慮をしているにも拘わらず、流れ場の計算に関しては重要視されていない傾向が強い。そこで本報では、流れ場の計算を高精度に実施するために移流項の計算にCIPを取り入れたCIP-LES-SFを用い、特に鉛直方向の圧力分布について静水圧・非静水圧モデルを用いた場合の違いを検討した。  水質指標としてはクロロフィルaを採用し、東京湾湾奥を対象とした。まず、湾内水質の特性を明らかにするため観測結果を整理した。その結果、東京湾における栄養塩およびクロロフィルaは塩分に対して非常に良いまとまりがあることが示され、淡水の湾内での挙動を精度良く解くことがクロロフィルaの空間分布を精度良く解くためには重要であることが示された。また、簡略化された生態系モデルを構築するため、実測値からモデル因子として何が重要なのかについて検討した。この検討では大型捕食者を除く生態系の主構成因である珪藻、渦鞭毛藻および動物プランクトンの動態をもとに、モデルのできる限りの簡略化を図っている。  検討の結果を踏まえて構築された生態系モデルを用いて、湾内流動の計算手法の主流である静水圧モデルと湾内における河川水の拡がりを精度よく解くことが可能である非静水圧モデルを用いて比較計算を行った。その結果、静水圧モデルでは河川流入水の湾内での拡散を大きく見積もってしまい、クロロフィルaの空間分布は非静水圧モデルの結果と比較すると拡がりが大きいものとなってしまうことが示された。
全文 /PDF/no1003.pdf