研究について

研究成果

干潟底泥の強度特性と環境要因との関係-コーン貫入試験を用いた調査-

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1002 2001年06月
執筆者 奥宮英治、桑江朝比呂、萩本幸将、小沼晋、三好英一、野村宗弘、中村由行
所属 海洋環境部 海水浄化研究室
要旨 干潟における底質特性は、干潟の生態系にとって重要な環境要素のひとつである。底泥の硬さも、底生生物の生息を考えるうえで重要であると考えられる。しかし底泥の強度特性や、それに及ぼす環境要因について言及した研究例は極めて少ない。そこで、本研究では干潟底泥の強度特性に関する基礎的な知見を得ることを目的として、比較的容易に試験実施が可能であるポータブルコーン貫入試験を用いて、干潟の表層付近における底質強度の調査を実施した。調査は自然干潟である盤洲干潟、造成干潟である西浦干潟で行った。さらに干潟実験生態系である干潟実験施設を用いて、底生生物が底質強度に及ぼす影響も検討した。  盤洲干潟においては、経時的な底泥の強度変化が小さいことが分かった。また、底質強度は岸沖方向に大きくなる傾向がみられ、底質強度と底質に作用する水圧等の外力や粒度分布との間に相関がみられた。大きな地形変化が進行する造成後間もない西裏干潟においては、底泥が硬質化する傾向が確認された。干潟実験施設の実験水槽に人為的に生物を投入した際の底泥の強度に対する影響を調べた結果、コメツキガニのように底質に巣穴を掘る生物の活動によって、干潟の底質が軟質な状態で維持されることが確認された。
全文 /PDF/no1002.pdf