研究について

研究成果

鋭敏な有明粘土の圧縮特性に関する一考察

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 039-02-02 2000年06月
執筆者 洪振舜、土田孝
所属 土質部 土性研究室
要旨  自然堆積土の圧縮性や強度特性は、堆積過程で形成される構造により大きな影響を受けている。これらの堆積構造を定量的に評価するパラメータとしてバーランドによる間隙指数が提案されているが、鋭敏粘土に関する間隙指数の適用性は調べられていない。有明粘土は鋭敏比が最大1000となる場合も報告されている日本の代表的な鋭敏粘土であるが、本報告は有明粘土の多数の圧密試験結果を用い、間隙指数による整理を行い、鋭敏粘土の圧縮特性を明らかにするとともにその原因を検討したものである。主な結論は次のようにまとめられる。 1) 練り返した有明粘土の圧密試験の結果を圧密圧力と間隙指数の関係として整理すると、バーランドによる固有圧縮線とほぼ一致した。練り返した有明粘土の圧縮挙動は、通常の粘性土の圧縮挙動とあまり違わないといえる。 2) 自然堆積状態の有明粘土の有効土被り圧と間隙指数の関係を求めると、ほとんどの場合、間隙指数はバーランドによる自然堆積圧縮線による値よりも大きかった。すなわち、有明粘土は通常の粘土に比べ、相対的にかなり高い間隙指数で堆積していることがわかった。 3) 有明粘土には、液性限界の違いによらず自然間隙比と土被り圧にユニークな関係がみられる。このことは、堆積時において一様に高い液性限界であった粘土が、塩分溶脱によって部分的に現在の液性限界に低下していると考えることで説明できる。
全文 /PDF/vol039-no02-02.pdf