研究について

研究成果

海面水位の変動が内湾域への水環境に及ぼす影響-大船渡湾での貧酸素水塊の形成と消滅機構-

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 038-03-03 1999年09月
執筆者 日比野忠史、豊田政史、西守男雄、細川恭史、鶴谷広一
所属 海洋環境部 主任研究官
要旨  日本周辺では、夏季には太平洋高気圧、冬季にはシベリア高気圧が卓越し、両季節では全く逆の気圧配置となるが、シベリア高気圧のため暖候期に比較して寒候期に気圧が高くなっている。海面水位は気圧配置の変わる春季に上昇し始め、秋季に降下し始めている。さらに、大船渡湾(三陸)内に流入する海水塊の特性も気圧配置の変わる春季と秋季に変化している。本研究では、グローバルな流れ場が沿岸域の水環境に及ぼす影響について検討を行った。気圧配置~海面水位~内湾域への流入水の関係について考察し、海面水位変化の特性は気圧との関係から整理することが可能であること、南北方向での海面水位偏差と海水挙動との関連性を見いだした。  この結果を用いて大船渡湾および釜石湾(大船渡湾の北北東約35km)における温度(密度)躍層とこれに伴う貧酸素水塊の形成および消滅機構について検討し、貧酸素水塊の形成・消滅は湾域のローカルな現象のみによって起こるのではなく、グローバルな大気の運動や海流等の外力に密接に関連していることを明らかにした。
全文 /PDF/vol038-no03-03.pdf