研究について

研究成果

液状化した砂地盤による消波システムの開発

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 038-03-02 1999年09月
執筆者 姜閏求、高橋重雄、山本悟、三浦裕信、高野忠志、下迫健一郎、鈴木高二朗
所属 水工部 耐波研究室
要旨  液状化消波システムは、砂地盤の下から注水し上向き浸透流を強制的に発生させ、その間隙水圧を大きくすることによって、砂地盤を液状化させ、この上を通過する波を減衰させる新しい波浪制御システムである。小型および大型水理模型実験を行うとともにFEMを用いた数値計算を行い、この装置の有効性を確認した。砂地盤の長さが1波長程度で厚さが水深程度であれば、波高伝達率が0.2~0.4となる大きな消波効果が期待できる。砂地盤層が厚いほど、また水深が浅いほど消波効果が大きく、周期に関わらずかなり安定した消波効果が得られる。地盤条件が適切であれば、模型の縮尺や砂の粒径に関わらず同様の消波効果が得られた。また、数値計算の結果を用いて液状化消波システムの消波性能の算定図を示した。  装置の経済性や信頼性の向上を図るため、上向き浸透流発生装置を用いて砂地盤の液状化について検討するとともに消波効果の向上策について検討した。液状化装置として重要なことは均一な液状化地盤をつくりだすことであり、均一な液状化は消波効果の向上と必要な流量の減少に効果がある。また、波作用によって地盤の締め固まりが生じ、それによって不均一な液状化となりやすく消波効果が低下する。波作用による地盤締め固まりは、砂地盤の粒径が小さいほど、また作用波の周期が長いほど強くなる。得られた結果に基づいて、この装置の設計方法の確立し、ほぼ実規模の装置の設計例を示した。
全文 /PDF/vol038-no03-02.pdf