研究について

研究成果

港湾空港事業における軽量混合処理土工法の開発と適用事例

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 038-02-05 1999年06月
執筆者 土田孝
所属 土質部 土性研究室
要旨  本文は、軽量混合処理土工法の開発に関するこれまでの研究成果と適用事例について述べている。主要な結論は以下のようにまとめられる。 1)軽量混合処理土工法は、液性限界以上に加水してスラリー化させた浚渫土や建設発生土を原料土とし、これに固化材と軽量化材(気泡あるいはEPSビーズ)を添加・混合して軽量地盤を造成する工法である。軽量混合処理土の密度は気中部分について1.0g/cm3、水中部分について1.2g/cm3程度に設定され、設計せん断強度は1.0~2.0kgf/cm2となるように設定される。 2)海水中の軽量混合処理土は海水との接触面から劣化が進み、密度が増加して強度は低下する。劣化速度は1~3cm/年であるので、接触面の覆土など直接海水面に接することを防止 すれば劣化に対処できる。また、水中に打設する場合には材料分離が少ない流動性と打設速度の条件があり、新たに提案した材料分離抵抗性試験によって適切な条件を求めることができる。 3)軽量混合処理土を岸壁の背後に使用したときの地震時土圧は現行の土圧式では計算できない。このため、分割法による土圧算定式を考案し、その適用性を振動台実験で確認した。 4)阪神・淡路大震災で被災した岸壁の復旧において、背後の土圧を低減する目的で神戸港浚渫土を原料とする気泡混合処理土22,000m3が施工された。打設後22ヶ月までの間に気泡混合処理土地盤の材料特性を調査した結果、気中部水中部のいずれも密度の変化はみられなかった。 5)東京国際空港の外周護岸の建設において、シールド工事による発生土を原料土とした気泡混合処理土と発泡ビーズ混合処理土を裏込め材として使用した。これは、発泡ビーズ混合処理土の初の実施工であった。施工後にボーリングコアを採取して調査したところ、ほぼ設計どおりの湿潤密度と強度を有することが確認された。
全文 /PDF/vol038-no02-05.pdf