研究について

研究成果

粘性土のセメンテーションによる強度発現メカニズム

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 038-02-04 1999年06月
執筆者 土田孝、湯怡新
所属 土質部 土性研究室
要旨  海底地盤の沈降堆積過程における強度発現のメカニズムを調べるため、地盤表層付近における微小ないし低応力レベルでの圧密試験を実施し、せん断強度の経時的な発現特性を調べた。高含水比の粘土試料の経時的な強度発現特性を実験により調べた結果、土被り圧が1kPa以下の表層部でせん断強度の時間的に対する増加量Δτ/Δlogtは、有効土被り圧p0が大きいほど大きく、以下のような関係が認められた。  有効土被り圧が50kPaから1000kPaの場合について他の研究者の実験結果からセメンテーションによる効果を分析した結果、それらの値はおおむね上の関係に当てはまることが分かった。さらに、有効土被り圧が1kPaから50kPaのときのせん断強度の時間的増加特性を実験により調べた結果、この範囲でも上式が成立するとの結果が得られた。70゜の高温条件のもとで圧密した場合はせん断強度は常温の場合の1.5~3倍となった。これは、高温条件で圧密速度が大きくなり二次次圧密期間が長くなること、高温環境ではセメンテーションによる強度発現速度自体が増加することによると考えられる。上記の関係式を用い、海底地盤の形成過程におけるせん断強度や圧密降伏応力、間隙比などの変化を計算した結果、表層付近のせん断強度分布は原位置での実測値の傾向とよく一致した。また、粘土地盤のせん断強度は堆積速度に左右され、同一深度においてゆっくり堆積した地盤がより大きなせん断強度を有することを示した。
全文 /PDF/vol038-no02-04.pdf