研究について

研究成果

根入れ鋼板セル護岸の地震観測と地震応答解析

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0932 1999年03月
執筆者 中村充裕、上部達生
所属 構造部 地震防災研究室
要旨  観測されたデータに基づいて根入れ鋼板セル護岸の動的挙動及び耐震設計法の妥当性を検討した。得られた成果は、以下の通りである。 1)地震時のセル体各部の周波数伝達関数から2.0Hz付近にピークが発生していた。また、この振動数はセルの一次固有振動数と思われる。 2)根入れ部側壁で測定された土圧分布は、海底面で大きな値を示す逆三角形分布を示した。また、同一時刻の分布図においてセル体上部の鉛直方向加速度計は値がほぼ同じで符号が逆転する分布形状を示した。セル体下部の底面反力分布も前しの土圧の符号が逆転していた。これらのことより、セルはロッキング振動をしているものと想定される。 3)有限要素法地震応答解析プログラムBEADIIIによる計算結果は観測結果と良い一致を見せ、この加速度レベルの範囲内においてBEADIIIによる解析手法はセルの地震時挙動をある程度推定し得ると考えられる。 4)設計指針による安定計算値と観測最大値との比較によれば、側壁土圧については、その分布は両者でほぼ同じ傾向を示したが、値は計算値の方が大きくなった。しかし底面反力については、観測値が一様な分布を示すことから、計算値と異なる分布形状となった。
全文 /PDF/no0932.pdf