研究について

研究成果

デュアル・フェース・サーペント型造波装置の適用性

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 037-04-01 1998年12月
執筆者 平石哲也、平山克也、丸山晴広
所属 水工部 波浪研究室
要旨

港湾構造物の主要な外力となる海の波は、本来、様々な方向から来襲する成分波のエネルギ-が重畳した多方向不規則波としての性質を有しており、室内の模型実験においても、小型の造波機を直線状に多数並べた多方向不規則波造波装置によって、その再現が試みられてきた。ただし、造波装置の設置面は通常単一で、水槽全域で目標とする多方向不規則波を再現することは困難であり、大型の平面模型実験を多方向不規則波の作用下で実験することは困難であった。一方、最近の現地観測では、お互いの伝播方向が異なるうねりと風波が同時に出現する二方向性の波浪がしばしば出現することが明らかとなっており、二方向波浪の室内における再現の要請が高くなった。また、台風の移動に伴って波向が短時間で変化する現象が現地で観測されており、このような波向の変化を実験水槽内で再現することも必要になった。そこで、水槽の広範囲に目標波が造波できる範囲を造るとともに、二方向波浪を再現でき、さらに時間的に波向が変化する不規則波の再現が可能となるように、2面に多方向不規則波造波装置を備えたデュアルフェ-ス・サ-ペント型造波装置を開発した。模型実験の結果、新しく開発した造波装置は、実験可能領域の拡大、二方向波浪の再現、長周期波の再現、時間的な波向変化を可能とし、これまでに実験できなかった条件で海洋構造物の特性把握のための実験ができることが判明した。

全文 /PDF/vol037-no04-01.pdf