研究について

研究成果

期待滑動量を用いた混成防波堤直立部の信頼性設計法

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 037-03 1998年09月
執筆者 下迫健一郎、高橋重雄
所属 水工部 主任研究官
要旨

 混成防波堤の現行設計法では、ケーソンがわずかでも滑動した場合は被災と考えているが、仮に滑動しても、滑動量が小さければ防波堤の機能自体が損なわれるわけではない。したがって、多少の滑動を許容できれば、より経済的な防波堤の設計法が可能となる。本研究は、ある程度の滑動を許容することを前提として、期待滑動量を用いた信頼性設計法を実際の防波堤の設計に導入し、建設コストを縮減することを目的としている。そこで、ケーソンの滑動モデルとモンテカルロ法を用いた期待滑動量の計算方法について検討を行った。

 また、期待滑動量を用いた信頼性設計法を提案し、現行設計法と新しい設計法との比較を行った。設計波に対する滑動安全率が同じでも、条件によって滑動遭遇確率や期待滑動量の値は大きく異なり、必ずしも同じ滑動安定性は保証されない。一方、期待滑動量を用いた信頼性設計法では、滑動量の許容値を同じにすれば、ほぼ同じ滑動安定性が保証される。本研究では、待滑動量の許容値を30cmとして設計する方法を提案した。新しい設計法による断面は、大水深防波堤や内湾で波高が小さい防波堤の場合以外は、現行設計法を用いた断面に比べて経済的となる。

全文 /PDF/vol037-no03.pdf