研究について

研究成果

距離減衰式から推定した地盤加速度と設計震度の関係

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0893 1997年12月
執筆者 野津厚、上部達生、佐藤幸博、篠澤巧
所属 構造部 地震防災研究室
要旨  本研究は、1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震による神戸港等の被害の甚大さに鑑み、港湾構造物の耐震設計の拠り所となっている地震動の距離減衰式、地震動の上下動成分の特性、加速度来たい値、深度と加速度の関係等について包括的な見直しを実施し、新しい地震外力の考え方を整理したものである。本研究の主要な結論は以下に示す通りである。 (1)強震記録の統計解析により工学的基盤における補正最大化速度、SMAC最大加速度、最大速度および最大変位の距離減衰式を新たに求めた。SMAC最大化速度に関する距離減衰式は、従来より港湾の分野で用いられている野田らの式と遠方(数10km以遠)で整合するものとなった。 (2)地震動の上下動成分について見直しを実施したところ、剛体構造物の地震時の滑動安定性に対する上下動の影響は大きくないことが確認された。 (3)わが国の沿岸地域の工学的基盤における最大加速度等の75年期待値を新たに求めた。今回得られたSMAC最大加速度の期待値は最大加速度の大きな領域ではこれまで用いられている北澤らの求めたものと比較して大きい傾向にある。 (4)重力式岸壁および矢板式岸壁の作用震度とSMAC最大加速度との関係の見直しを実施したところ、野田らにより提案された重力式岸壁の作用震度の上限を与える式の妥当性が確認された。同様の関係は矢板式岸壁にも準用できると考えられる。 (5)港湾構造物の新しい地震外力の考え方を整理した。
全文 /PDF/no0893.pdf