研究について

研究成果

空港アスファルト舗装の新しいタックコート材料の開発

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0885 1997年12月
執筆者 八谷好高、梅野修一、今井泰男、中村健、室園正徳
所属 土質部 滑走路研究室
要旨  タックコートがアスファルト舗装の表層と基層の間の付着力に及ぼす効果について室内試験により検討し、空港舗装を対象とした新しいタックコート材料を開発した。まず、航空機荷重が舗装表面に鉛直および水平方向に加わった場合に表・基層間に生ずる応力について解析した。次に、表・基層間の付着力について施工方法の異なる舗装箇所から採取した試料により調べ、表・基層間の施工時間間隔がその境界面における付着力に及ぼす影響を調べた。そして、付着をよくするために使用されるタックコートの効果について境界面に付着する砂などの汚れ、タックコートの養生時間、材料の違いといった点に注目して検討を加えた。最後に、実際の舗装の建設・補修工事の状況を勘案して、空港舗装に適したタックコート材料の開発を試みた。  得られた知見は以下のようにまとめられる。  (1)滑走路中間部等のアスファルトコンクリート表・基層は、設計で考慮していない水平荷重が負荷されることにより境界面に層間剥離が発生し、さらに荷重が加わることにより曲げあるいは引張作用により破壊に至る危険性がある。  (2)層間付着力は基層と表層の施工感覚の影響を受け、施工間隔の長いほうが付着強度は小さい。  (3)十分に養生すれば、タックコートの施工により高温時の付着強度が改善される。特に、引張強度では1層施工の強度を上回るほどになる。  (4)タックコート施工後、昼間の場合は1時間、夜間の場合は6時間以上養生できれば、アスファルト乳剤中の水分はほぼ蒸発する。  (5)境界面に砂が付着した状態で従来型のタックコート材料を使用しても、養生が不十分であれば付着強度は増加しない。  (6)今回新たに開発した高針入度を有するゴム入りアスファルト乳剤をタックコートとして使用することにより付着強度は改善できる。特に、高温時におけるアスファルトコンクリート層の破壊防止対策としては有効 ある。
全文 /PDF/no0885.pdf