研究について

研究成果

東京湾“ダイヤモンド・グレース”号流出油の浮遊・漂着状況の把握と水域への影響調査

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0882 1997年12月
執筆者 鶴谷広一、細川恭史、日比野忠史、三好英一
所属 海洋環境部 環境評価研究室
要旨 平成9年7月2日10時5分に発生したダイヤモンド・グレースの座礁事故により、約1,550klの原油が流出した。油の回収は7月4日21時30分頃までにそのほとんどが終了した。流出油は油回収船や人力による汲み取りによる回収と油処理剤による処理(約170klの散布)によって行われた。本資料では原油流出事故発生時から想定したシナリオに基づいて、油の生物への影響調査の計画~実施~結果について経時的に記述している。具体的には、油の漂着状況を把握し、護岸・港湾構造物へ付着している生物の状況を継続的に観察するとともに、漂着前後の採泥、油漂着後の付着生物のかき取り、採水等の採取サンプルに対する油分析を行った。これらの調査・分析の結果、(1)海中での目視による観察では、(i)大型生物への外観上の影響は認められなかった。(ii)廃油ボール等、油の海中での状態を目視で確認することはできなかったこと、(2)流出油は時間の経過とともにその性状を変化させ、海水の粘性や密度に近づいていくこと、(3)流出した油と底泥やイガイに含有された油分(n-パラフィン類)分布の形状特性から、流出油の底泥、イガイに取り込まれた量は多くとも現含有量の1/2~1/3程度であると考えられること、(4)観測地点の油分量を比較すると、油漂着量の多かった浮島で油分が海水中に多く含まれており、水深方向には下層での湯分量が多いこと等の知見を得た。
全文 /PDF/no0882.pdf