研究について

研究成果

干潟実験施設における底生生物群集の動態

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 036-03-01 1997年09月
執筆者 桑江朝比呂、細川恭史、古川恵太、三好英一、木部英治、江口菜穂子
所属 海洋環境部 海水浄化研究室
要旨  干潟実験施設を用いて物理的撹乱および海水交換が底生生物群集に与える影響を検討した。また、再現された干潟実験生態系における生物群集の遷移を経時的に検討した。  底生バクテリアおよび底生藻類の現存量は、流れによる撹乱を与えた水槽と比較し波による強い撹乱を与えた水槽の方が少なかった。  これは、底泥のごく表層に棲息する藻類が、再懸濁によって流失したり移動する底泥によって被覆されることが原因と考えられた。そして藻類量が少ない環境では、藻類から有機物の供給を受けるバクテリアの現存量も小さい値を示すと推測された。  より深い泥深に棲息する大型のメイオ・マクロベントスの個体密度および出現種数は、撹乱強度の異なる水槽間で差がみられなかった。海水交換頻度の異なる水槽間での生物群集の現存量には差がみられなかった。  群集の現存量が明確な季節変動および経過時間に伴う一定の増加・減少を示さなかったことから、生態系が創出されて8ヶ月までに現存量が動的平衡になっていたと考えられた。多毛類のイトゴカイや二枚貝のホトトギスガイなどの日和見種が優占した。  これより、実験水槽内の生態系が初期の遷移状態にあったと考えられた。
全文 /PDF/vol036-no03-01.pdf