研究について

研究成果

信頼性設計法による防波堤の全体系安全性(第2報)~支持力安全性に関する検討~

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 036-01-02 1997年03月
執筆者 長尾毅、門脇陽治、土田孝、寺内潔
所属 計画設計基準部 計画基準研究室
要旨

 防波堤の全体系の支持力安全性照査への信頼性設計法の適用方法を検討した。近年における全国の重力式防波堤の設計事例40(うち支持力が支配的な断面18)をもとにして、現行設計法による防波堤の支持力安全性を安全性指標により評価した。また、現行設計法と平均的に同程度の安全性を持つ構造物を設計する観点から、より合理的な信頼性設計法の適用手法を検討した。

 本研究により得られた主要な結論は以下のとおりである。

1.防波堤の支持力安全性をビショップ法で照査する場合、レベル1の信頼性設計法は特に高マウンド堤において適用性が低く、設計法の合理化の観点からはレベル2以上の信頼性設

計法の適用が適切である。

2.現行設計法による防波堤の支持力に関する見かけの安全性指標の平均値は1.6程度である。滑動安全性と比較すると安全性が低い結果となり、実際の被災の傾向とは一致しない。この原因としては、波力のような動的な荷重が作用する場合における地盤の強度定数を低め評価していることが考えられる。滑動の安全性指標との比較などの観点からは、支持力の安全性指標の平均値は3.0程度であると推定される。波圧時における地盤の強度定数が静的な試験から求められた現行の設計値よりも20%程度以上大きいと想定するならば、これまでの被災事例の傾向をよく説明できる。

3.現行設計法の偏心傾斜荷重時の支持力の許容安全率は1.0であるが、実際には隠れた安全性の余裕度が見込まれていると考えられる。

全文 /dffebcd3b40c0d8e243af95655389620d074682a.pdf