研究について

研究成果

1994年北海道東方沖地震の港湾地域における強震記録

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0853 1996年12月
執筆者 佐藤幸博、宮田正史、一井康二、森田年一、井合進
所属 構造部 地盤震動研究室
要旨  1994年10月4日22時22分56秒、北海道の東方を震源とする気象庁マグニチュード8.1の地震が発生した。気象庁によって、この地震は「平成6年(1994年)北海道東方沖地震」と命名された。本地震の震源位置は、北緯43度22.3分、東経147度42.5分、深さ23kmであった。本地震によって、北海道の釧路で震度VIの烈震、根室、広尾、浦河で震度Vの強震が記録されたのをはじめ、北海道および東北の各地に激しい地震動がもたらされ多くの被害が発生した。これらの被害により、港湾施設の被害額は全体で約135億円に達した。  1962年より観測が開始され、1963年から記録が得られている港湾地域強震観測網においては、本地震によって19港30地点で強震計が作動し、13港20地点でデジタルデータとしての加速度記録を得ることができた。デジタル記録が得られた港湾は、浦河港、苫小牧港、相馬港、大船渡港(構造物)、十勝港、函館港(地表箇所・地中基盤・構造物)、釜石港(地表・地中基盤)、釧路港(地表・地中基盤)、小樽港、室蘭港、青森港、花咲港、京浜港(地表・地中基盤・構造物)であった。小名浜港、酒田港、大船渡港(地表)、秋田港、品川(地表・地中基盤)、塩釜港(地中基盤)の記録については加速度値がちいさかったため、八戸港、大船渡港(構造物)、塩釜港(地表)の記録については記録が不鮮明であったため、それぞれ記録をデジタル化することができず加速度の最大値のみの読み取りに留まった。  本資料で報告する記録は、北海道東方沖地震本震の際に港湾地域強震観測網で観測された17個の地表・地中の強震記録、ならびに10月4日22時42分51秒に発生した余震の記録(1港2地点)、10月6日05時39分51秒に発生した余震の記録(2港3地点)、及び10月9日16時55分39秒に発生した余震の記録(2港3地点)である。報告する内容は、それぞれの記録について、1)未補正加速度記録、2)計器特性による補正加速度記録、3)SMAC-B2型強震計の計器特性と等価なものに換算した補正加速度記録(SMAC等価化速度)、4)積分により求めた速度・変位、5)応答スペクトル、6)フーリエスペクトル、7)加速度・速度・変位の軌跡、を示している。釧路港においては、地中基盤と地表の2層同時観測を行っているため、更に加速度の増幅率を示している。また本震の全記録を対象として、加速度・速度・変位の距離減衰関係を併せて示している。
全文 /PDF/no0853.pdf