研究について

研究成果

コンクリート中に多段配筋された鉄筋の電気防食効果に関する基礎的研究

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0851 1996年12月
執筆者 福手勤、阿部正美、吉岡光洋
所属 構造部 材料研究室
要旨  港湾コンクリート構造物の塩害による劣化を防止する一つの方法として、電気防食法が検討されている。  本資料では、コンクリートの塩分濃度を深さ方向に3段階変化させ、それぞれの層に独立して鉄筋を埋設させた供試体を用い、電気防食の効果について基礎的な試験を行った。本試験により以下のことが明らかとなった。 (1)塩分量の多い上段のコンクリートに埋め込まれた鉄筋から塩分量の少ない中、下段の鉄筋へマクロ腐食電流が流出した。 (2)上、中、下段鉄筋を短絡して通電試験を実施した場合、電流は通電量の増大とともに上段の鉄筋へ優先的に流入し、中、下段鉄筋への流入量は少なく、また、中、下段へ流入する電流量には差がなかった。 (3)各鉄筋を短絡して通電した場合、コンクリート中の含有塩分量が多くマクロ腐食電流が大きかった供試体では、マクロ腐食電流を停止させるためには2~4mA/のm2防食電流密度が必要であった。 (4)コンクリート中の含有塩分量が多くマクロ腐食電流の大きかった供試体で鉄筋を短絡させ通電試験を実施した場合、中、下段の鉄筋を100mV以上分極させるためには20~40mA/のm2防食電流密度が必要であった。 (5)コンクリート中の含有塩分量が少なくマクロ腐食電流の小さかった供試体では、鉄筋を短絡した場合の通電試験の結果、1mA/m2以下のわずかな防食電流密度で全ての段の鉄筋を100mV以上分極させることができた。
全文 /PDF/no0851.pdf