研究について

研究成果

壁式深層混合処理地盤の滑動破壊挙動について

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 035-02-02 1996年06月
執筆者 北詰昌樹
所属 土質部 地盤改良研究室
要旨 深層混合処理工法(Deep Mixing Method、略称 DMM)は、原位置の軟弱粘性土に化学的安定材を添加し、原位置で強制的に撹拌混合して地盤中に強固な安定処理土を形成する工法で、ドレーン工法やサンドコンパクションパイル工法などに比べ短期間で高強度の改良地盤が得られる、発生残土が少ない、周辺環境への影響が少ないなどの数々の利点を有している工法である。深層混合処理工法は、近年の構造物の大型化・急速施工に対する要求、さらには騒音振動などの環境問題などを背景に脚光を浴びるようになり、現在では各地の港湾構造物の基礎や陸上での盛土・掘削工事の安定・沈下対策に広く使用されている。  深層混合処理工法による改良地盤の形式のうち、港湾の分野では、これまでブロック式と呼ばれるマッシブな改良形式が主として用いられており、壁式や格子式改良の適用は限られてきた。しかし、近年同工法の経済化が叫ばれ、ブロック式より経済的な改良形式の港湾構造物基礎への適用を望む声も大きくなってきている。  壁式改良地盤の挙動に関してはいくつかの実験的・解析的研究が行われているが、改良地盤が極めて3次元的であるため、未だ十分に解明されていないのが現状である。  そこで、本研究では、壁式改良地盤の滑動破壊現象について、円心模型実験装置を用いて埋立護岸の建設を再現し、埋立中の改良体ならびに壁間未改良土に作用する土圧・間隙水圧の変化、改良地盤の変位挙動などについて詳細に計測した。特に、壁間未改良土に作業する土圧と改良体に作用する土圧の相違、滑動破壊時の未改良土の挙動などについて検討した。さらに、実験結果と現行の設計法とを比較検討し、滑動破壊時の壁間未改良土の取り扱いについても考察を加えた。
全文 /PDF/vol035-no02-02.pdf