研究について

研究成果

市区町村間の道路距離と時間を用いた三大湾の港湾貨物の背後流動特性の解析

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 035-01-06 1996年03月
執筆者 池田秀文、布川恵啓、村田利治、竹下正俊、奥田薫、岡野秀男
所属 計画設計基準部 計画基準研究室
要旨  本研究は、わが国の港湾活動の中心的な位置を占める三大湾(東京湾、伊勢湾、大阪湾)を対象とし、港湾貨物の背後地域への流動特性を分析したものである。分析にあたっては、「陸上出入貨物調査」と国土庁が開発した「総合交通体系データベースシステム」を統合化して、港湾貨物の流動距離と時間を計算するシステムを構築した。このシステムを利用して、外・内貿別、出・入別、在来・コンテナ別の54品目分類の港湾貨物の背後陸上流動状況を明らかにした。  分析の結果得られた主要な結論は次のとおりである。 (1)三大湾の貨物は距離で2000km付近、時間で20hr程度まで到達しており、非常に広範囲に流動している。 (2)貨物の平均流動距離は、沿う貨物で30km程度、在来貨物で25km前後、コンテナ貨物で110km以上である。外・内、出・入別にみると最も平均流動距離が短いのが輸入在来貨物で、最も長いのが輸出入コンテナ貨物である。なお、輸出、移出コンテナを除き、平均流動距離は増加傾向にある。 (3)流動距離とその距離での流動貨物量の割合の関係をみると、高射は前者のほぼ2乗に反比例する。特に、三大湾から700kmの範囲でその相関は高くなる。流動時間についても10hrの範囲でほぼ同様のことが言える。流動貨物量の割合との相関関係は、流動距離に比較すると流動時間の方がわずかに大きい。 (4)品目別にみると、最も平均流動距離が短い輸入在来貨物の主要品目は、鉱物性燃料や原材料である。いずれも臨海部に立地する工場等に輸送されるものが多い。これに対し、 最も平均流動距離が長い輸出入コンテナは、輸出は機械類に特化し、輸入は日用品や食料品や比較的多い。特に後者は最終施設への流動割合が少なく、実際の流動範囲はさらに大きい。
全文 /PDF/vol035-no01-06.pdf