研究について

研究成果

海洋環境下における植栽を目的としたポーラスコンクリートの材料特性

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0819 1995年12月
執筆者 福手勤、浜田秀則、田中順、真下昌章
所属 構造部 材料研究室
要旨  わが国各地の港湾整備において、構造物本来の機能を満足しつつ、景観や親水性に配慮した施設の整備が進んでいる。この流れの中にコンクリート構造物に対する緑化の要請がある。このような背景から、本稿では、草本類、木本類が根を張ることを可能とし、植物の生育が可能となるポーラスコンクリートを開発することを目的とした材料実験の結果を示している。  実験は29種類の配合のポーラスコンクリートに対して各種の試験を行った。実験パラメータは(1)骨材の粒径分布、(2)混和材の有無(なし、シリカフューム、高炉スラグ微粉末)、(3)混和材置換率、(4)水結合材比、(5)結合材骨材比などである。また評価項目は、(1)強度、(2)空隙率、(3)透水性、(4)アルカリ溶出量、(5)耐海水性などである。  一連の実験の結果、以下のような結論を得た。 (1)混和材として高炉スラグ微粉末を用いることにより25%程度の空隙率で200kgf/平方センチメートル程度の圧縮強度のポーラスコンクリートを得た。 (2)ポーラスコンクリートの強度特性は、主に空隙率、ペースト量により左右される。 (3)多孔質であることによる引張強度の低下は圧縮強度の低下よりも大きいため、引張強度と圧縮強度の比は一般のコンクリートよりも小さい。 (4)ポーラスコンクリートから溶出するアルカリイオン量はセメント量、混和材の影響を受けるが、いずれも水への浸漬時間の経過とともに減少する。 (5)強制的な乾湿繰り返しは、ポーラスコンクリートのペースト膜に細かいひび割れを発生させ、強度、動弾性係数などに影響を及ぼす。
全文 /PDF/no0819.pdf