研究について

研究成果

兵庫県南部地震による港湾施設の被害考察 (その6)ケーソン式岸壁の被災に関する模型振動実験

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0813-06 1995年09月
執筆者 菅野高弘、三藤正明、及川研
所属 構造部 構造振動研究室
要旨 平成7年兵庫県南部地震において、神戸港の岸壁の構造形式の大半を占めるケーソン式岸壁の被害が甚大であった。その被災形態はケーソンの海側への移動・前傾・沈下、背後地盤が陥没するものであった。この被災形態の原因として、直下型地震のための大きな地震加速度によるもの、ポートアイランドや六甲アイランドで大規模な液状化現象が観測されていることからケーソン背後埋立地盤の液状化の影響、ケーソン基礎部分の置換土層の影響等が考えられる。  本報告では、現地の被災調査では十分把握できない地盤内の変状等を含めケーソン岸壁の被災について、1/17縮尺の模型を用いた水中振動台による現象再現実験について述べる。  ポートアイランドで記録された地震記録を用いた振動実験の結果、ケーソンの移動量、背後埋立地盤の陥没等、現地の測量結果と概ね一致した。また、ケーソン函体・マウンド間での相対水平変位は小さく、マウンドが置換土層にめり込み、海側に変位していることが計測された。よって、置換土層の過剰間隙水圧の上昇によりせん断剛性が低下し水平方向に移動したものと考えられる。ケーソンの沈下に関しては、置換土層の地震動による軟化に伴うせん断変形が支配的であると考えられる。  1968年十勝沖地震の際に八戸港で記録された地震波を用いた再現期間75年程度の入力地震動に対して、ケーソンの残留変位は比較的小さく、特に背後埋立地盤の改良効果が認められた。再現期間75年程度の地震に対しては、背後埋立地盤を改良することによって土圧軽減を計ることが耐震上有効であることが示された。
全文 /PDF/no0813-06.pdf