研究について

研究成果

兵庫県南部地震による港湾施設の被害考察 (その4)埋立地盤の特性

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0813-04 1995年09月
執筆者 善功企、山﨑浩之、南兼一郎、中島由貴
所属 土質部 動土質研究室
要旨  兵庫県南部地震の被災を契機に、礫分を多く含む粒度のよいまさ土により構成される埋立地盤の既往の土質データを収集し、地震後に行われた土質調査の結果とあわせて整理した。その結果、以下のことが明らかとなった。 (1)標準貫入試験のさいに使用されるスプリットサンプラー(内径35mm)で得られた試料、凍結により得られた試料(直径300mm)、地盤の掘削による自然試料の3種類の採取法の異なる試料による粒径加積曲線を調べた結果、凍結試料と自然試料による粒径加積曲線はほぼ等しい結果が得られた。標準貫入試験による試料を用いた場合は、これらに比較して、通貨質量百分率で約10%~20%前後上側へシフトした粒径加積曲線となった。 (2)まさ土による埋立地盤のN値は小さく、地盤面から-10m~-15mの浅いところでは平均して10前後の値である。また、地震前後の平均的なN値を比較した結果、ややN値は増加している傾向がみられたが、N値のばらつきを考慮するとその増加量は大きくない。 (3)まさ土による埋立地盤は大きな礫を含んでいるため、密度は普通のきれいな砂地盤に比較して大きい。凍結試料を用いた測定結果では、乾燥密度1.7~2.1g/立法センチメートル、湿潤密度2.1~2.4g/立方センチメートル程度であった。また、密度検層の結果得られた密度とN値にはあまり良い相関性はないが、密度が大きくなるとN値も大きくなる傾向がある。 (4)地震後のPS検層の結果によると、まさ土による埋立地盤でも、横波速度とN値の間にはある相関性がある。また、剛性率についても同様である。一方、縦波速度はN値によらず一定であった。 (5)微小ひずみレベルにおける剛性率Goについて、PS検層による原位置試験と凍結サンプルを用いた室内動的変形試験の結果を比較したところ両者は良く一致した。また、間隙比と平均有効主応力を用いて剛性率Goを推定するHardinらの実験式は、今回のまさ土に対しては適用性があまり良くなかった。 (6)実測されたG/Go~r曲線は、港湾の規準による砂質土に対する標準曲線と精度良く一致した。一方、減衰比は全体的に実測値の方が小さく、h~r曲線は、標準曲線よりも下側にきた。 (7)凍結サンプルを用いた繰り返し三軸試験による液状化強度と換算N値の関係は、吉見(1994)によって報告されている結果とほぼ一致した。また、試験個数は少ないが、液状化強度は、埋土部の方が置換部よりも大きい傾向にある。
全文 /PDF/no0813-04.pdf