研究について

研究成果

多方向不規則波を用いた港内波高分布に関する模型実験手法の検討

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0788 1994年12月
執筆者 平石哲也
所属 水工部 波浪研究室
要旨  沖縄県地方および伊豆諸島の離島においては、生活環境の向上を図るため港湾の整備が必須である。しかし、現状では港湾の整備は遅々として進んでいない。それは、外洋に面した孤立島であり、作用する波が非常に大きいことや、島内に施設がなくケーソンが製作できないことなどが原因となっている。そこで、離島港湾の防波堤として、堤体がなるべく小さく、しかも高波浪時にも十分な安定性を有するものとして上部斜面型ケーソン堤が考案されている。上部斜面堤は、斜面に作用する波力成分の一部を下向きに作用させるため、耐波安定性に優れているものの、波が斜面を遡上しやすく、直立堤に比べて伝達率が大きくなり、港内波高の計算においては伝達波を考慮しなければならない。本研究は、多方向不規則波を用いた平面実験において、上部斜面堤の越波が港内波高分布に与える影響を検討することを目的としたものである。得られた主な結論は以下のとおりである: (1)上部斜面堤の越波による伝達波の周期は、港口部における入射波のそれの0.5倍として評価できる。 (2)港口部からの回折波による港内波高と伝達波による港内波高を線形に重ね合わせることにより合成波の波高分布を求めることができる。このとき、上部斜面堤の波高伝達率は、2次元水路実験で得られた伝達率の0.7倍の値を用いればよい。 (3)多方向波の港奥における波高は、単一方向波のそれよりも大きく、平面実験においては多方向不規則波を用いるべきである。
全文 /PDF/no0788.pdf