研究について

研究成果

係岸船舶の動揺に基づく荷役許容波高及び稼働率

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0779 1994年06月
執筆者 上田茂、白石悟、大島弘之、浅野恒平
所属 構造部 海洋構造研究室
要旨  港湾施設の技術上の基準・同解説においては、泊地の静穏度は、波高に基づいて規定されている。すなわち、係留施設において荷役限界波高は、小型船においては0.3m、中・大型船においては0.5m、超大型船においては0.7~1.5m程度とされている。しかしながら、係船岸に係留される船舶の動揺は、船舶の諸元、波浪、風、係船岸の構造、防衛工、係留索などの諸量の関係であるので、係船岸における荷役の可否は、それらの諸条件を考慮して評価するのが合理的である。  そこで本資料は、係岸船舶の動揺数値シミュレーションを行ない、船種、船型、波向、波周期別に荷役許容波高を提案した。  本資料における主要な結論は以下のとおりである。 1)本資料では、一般貨物船、タンカー、コンテナ船(LO/LO)、コンテナ船 (RO/RO・Side)、自動車運搬船、穀物運搬船、鉱石運搬船について荷役許容波高を提案した。 2)荷役許容波高は、波周期が長周期側になるにしたがって小さくなる。 3)同一波周期において荷役許容波高は船舶に作用する波向が90°に近づくにしたがって小さくなる。 4)同一波向、同一波周期については、船型が大型になるほど、荷役許容波高が大きくなる。 5)荷役許容波高の提案値に基づいて、荷役の稼働率を計算した。荷役の稼働率は、従来から指摘されているように長周期波の作用する外洋性の港湾では、従来の指標値(荷役限界波高)による計算値よりも低下する。
全文 /PDF/no0779.pdf